ジャンクリストフ
新年おめでとう。今年もがんばるぞ。
新年に際して、あなたたちに贈りたい言葉があります。
これは、ロマン・ローランの書いた
ジャンクリストフという小説の一節です。
この小説はベートーヴェンの人生を、
そのモデルにして描いたものだといわれています。
主人公のジャンクリストフが、
人生に悲嘆して、酒ばかり飲んで、
自堕落になっていたとき、
叔父さんのゴットフリートが、
まるで歌うように彼に諭す言葉です。
「明けて来る新しい日に対して、敬虔な心をお持ち!
1年の後、10年の後、どうなっているか考えるのはやめるがいい。
今日というこの日のことを考えるがいい。
理屈はみんな、まず差し置いてしまうがいい。
いいかい、みんなだよ。馬鹿げているよ。
悪い結果を持ってくるよ。
人生に無理な力を加えてはいけないよ。
今日を生きることだよ。
その日、その日に対して敬虔でおあり。
その日、その日を愛して、尊敬して、
何よりもその日その日をしぼませないことだよ。――-」
「それだけでは少なすぎます」とクリストフは言った。
ゴットフリートは親しみ深い笑い声を立てた――
「それは誰にも出来ないほど多くのことを望むことなんだ。
お前は傲慢だね。お前は英雄になりたがっているんだ
―― 英雄とは自分のできることをする人なんだろう――」
―――
「・・・そうだ・・・とにかく・・・それだけでも十分だ」
こうしてクリストフは、
その日、その日を精一杯生きるのだと決心するのです。
明日のことなど考えずに、
その日、その日が花咲くように生きればいいのだ、
それだけで十分だと考えるのです。
本当に、その日、一日を大切に生きれば、
1年の後には、あなたたちの夢にたどり着いています。
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