鳥居 強右衛門 ⑧

剛先生

2012年09月23日 00:13

磔の柱に縛り付けられた強右衛門は

しばらくすると、やおら目を見開いて、

城の方を見ました。

遠目に仲間の顔が見えます。

彼はその一人一人の顔を確かめると、

目の前の城に向かって大声で叫びました。

「みなの衆――。援軍はすぐにやって

きますぞ。今しばらく持ちこたえてくだされ」と。

その言葉が終るか終らないうちに、彼の体は

下から突き出した武田兵の槍の先で刺されて

いました。

捕らえられた時から、強右衛門は死を覚悟して

いたのでした。

武田軍の命令に従うと見せて、これを、味方

をはげます最後のチャンスとして、この朗報を

命をかけて伝えたのです。

    つづく

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