鳥居 強右衛門 ⑥
岡崎城から、援軍が来るとの知らせを、一刻も
早く知らせようと、長篠城に向かった強右衛門
でしたが、後一歩のところで、武田軍に捕まって
しまいます。
武田軍は、強右衛門から、徳川、織田軍がすぐ
にもやって来ると聞き出します。
そして、彼に、もし「援軍は来ない、降伏しろ」
と城内の兵士に伝えれば、武田の家臣として、
厚遇しようと持ちかけます。援軍が来ないと
なれば、城はすぐにも落ちるであろうと、
武田軍は考えたのでした。強右衛門の脳裏に
一瞬、貧しい家族の姿が目に浮かびました。
長い戦乱の中、満足に食べさせることも
できないまま、今、自分は殺されるかも
しれないという想いが頭をよぎりました。
彼は深い目をして、武田軍の指図どおりに
言うと承知しました。
つづく
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