鳥居 強右衛門 ⑦

剛先生

2012年09月21日 13:46


武田軍は、川をはさんだ対岸の、城からよく見える

場所にやぐらを建てて、そこに柱に磔(はりつけ)

にされた強右衛門を立てました。

城の中からも、裸で磔にされた強右衛門の姿が

よく見えました。長い籠城で、やせて、気力も

失せた城兵たちは、食い入るように、強右衛門の

姿を見守っていました。彼が捕まってしまったの

を見て、城兵の中に、絶望的な気持ちが広がって

いました。

両軍が固唾を呑んで見守る中、柱の上で、

強右衛門は、固く目を閉じていました。

それを、下から、武田の兵が槍の先で、

早く言えと催促するように、つつきました。

   つづく

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