鳥居 強右衛門 ③
武田軍に幾重にも囲まれ、食料を焼かれて
しまった長篠城の兵の士気はだんだん
落ちて行きました。
そこで、徳川家康が守る岡崎城に、窮状
を伝えて、援軍を頼むために、伝令を送る
ことになりました。岡崎城は長篠城から
65キロほどありました。伝令の志願を募ると、
足軽の一人、鳥居強右衛門が名乗り出ます。
強右衛門は、体も大きく、日ごろは無口ながら、
仲間にも信頼されている男でした。また、
彼は、泳ぎが達者だと言うことでも知られ
ていました。長篠から出るには、敵に悟ら
れないように川を横切る必要があったのです。
信昌もその人柄と力を頼んで、この危急を
岡崎に知らせる役目を彼に託したのでした。
この城の全員の命が彼の働きにかかっていました。
使命の重さを感じたのか、彼の顔には深い
覚悟があらわれていました。
関連記事