外国に行って驚いたこと 8

剛先生

2012年12月05日 08:59

ロンドンだったか、パリだったかおぼえていませんが、

ホテルに泊まって、

朝食に行こうとしていたときのことです。

朝食は2階のレストランで食べることになっていました。

それで、2階の廊下を通って行くと、

途中にバルコニーがあったのです。

そこは見晴らしがよさそうで、

つい気持ちを誘われて、

外に出てみたいと思ったのです。

ところが、その出口のドアには、

“取り手”がないのです。

一体どうして、ドアを開けるのかなー

と少し戸惑っていたのですが、

いろいろ触っているうちに、

横に棒状のものがあったので、

何となくそれを、引っ張ったらドアが開いたのです。

お寺の門にあるような、かんぬきになっていたのです。

うまいことドアが開いて、外に出ました。

そして、戸外の景色をしばし楽しんだ後、

元に戻ろうとして、ドアのところに行くと、

やや!ドアに“取り手”がないのです。

まったく、壁が続いているだけで、

ドアを開けるものは何もついていないのです。

あれっ、どうして開けたらいいんだ。

ドアを開ける手立てがないのです。

「どうしょう」・・・ドアにはガラスがついていますから、

廊下を通る人が見えるのです。

私はその人たちに向かって、

ガラスをどんどんたたきながら、

「助けて」と大声で叫びました。

しかし、どの人も怪訝な顔をして通りすぎていきます。

私がなおもたたき続けると、

人のよさそうな若い人が、にっこり笑って、

「なにやってんのやら」とでも言いたげに、

近づいてきて、ドアを開けてくれました。

本当にやれやれ、ほっとして、「サンキュウ」

を何度も繰り返しました。

その人は「日本人か」と聞いてきましたので、

「そうです。ありがとう。あなたはどちらですか」

と聞くと、ポルトガル人だと言ったのです。

私としては、本当に助かったから、

もう少し話したかったのですが、

友だちが彼を呼んだので、

彼は「じゃー」と言って立ち去っていきました。

このときの失敗は、それまでの失敗と違って、

本当におろおろものでした。

もし、彼が開けてくれなかったら、どうなっていたでしょう。



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