黒田 官兵衛 7
金もなく、地位もなく、名誉も・・・
何もかもないないづくしのとき・・・
それでもその人が、立身をとげるには、
人に信義を尽くし、約束を必ず履行し、
信頼を得ること以外の方法はありません。
まさに、官兵衛も、秀吉も、人に情誼を尽くし、
その人たちの信頼を得ていったのです。
官兵衛と秀吉の親交は、変遷極まりない戦国の世で、
一筋の光明を感じさせる逸話ではありませんか。
もうひとつこのような話があります。
それは、宇喜多直家が死の床にあったとき、
秀吉はそれまで質子として預かっていた、
子供の秀家を枕元に連れて行き、
「当主がいなければ、お困りであろう。
この子をお返し申そう」と言ったというのです。
死を待つ身である直家は、この秀吉の厚誼に感涙したと言われます。
もちろん、その家臣団もまた、「この人のためには」
と心に誓ったに違いありません。
このような清廉として品格の高い人間関係を築けたらいいですね。
私は・・・もし、官兵衛や秀吉がここに生きていたら、
聞いてみたいのです。
「あなたたちは、今まで人を信じて来て、
そのために損をしたことが多かったですか。
それとも、大いに得をしたことが多かったですか」と
・・・もちろん、人を見る目にたけていた2人ですから、
つまらないことにだまされたということはないと思いますが、
それでも、この人はという人物にだまされ、
それによって損をこうむった事はあったでしょう。
しかし・・・反対に、一生の友を得たり、
人生を好転させる好機になったといったことが
多かったのでははないでしょうか。
官兵衛だったら、「人に裏切られたことより、
信じて得をしたことの方が、大きいに決まってるじゃないか」
と笑いながら答えるかもしれませんね。
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