黒田 官兵衛 3

剛先生

2012年11月06日 08:40

信長が、荒木村重の造反を、

にわかに信じ切れなかったのは・・・

これほどの厚遇を持って遇し、

村重に何の不満があろうか・・・

ということだったのでしょう。

信長は、村重に摂津の国を与え、

こよなく村重の剛勇を愛したのでした。

村重が始めて信長に、謁見したとき、

信長は脇差を抜いて、目の前に置いていた、

だんごを刺して「これを食べてみよ」

といったと言うのです。

居流れる諸将は、さてどうしたものかと、

固唾を呑んだのです。

ところが、村重は、「いただきまする」

と言って、切っ先に刺さった、

だんごにぱっくりと噛み付いて、

食べてしまったのです。

これを見た信長は、カラカラと笑って、

以後、この村重を重用するようになるのです。

信長には、もともと、

このような稚気にとんだ奇癖を愛する風があり、

村重はまさにこの信長の性向にぴったりと

反応する人物だったのです。

それだからこそ・・・

後世になった今も、村重謀反の真意を明察することはできません。

明智光秀にはどこか、

あまりに慇懃実直という趣があり、

この点は信長とは相容れないところがあったのでしょう。

この2人にいつか、不協音が生じるということは、

容易に推測できます。

しかし、村重とは、少なくとも信長の側には、

何の齟齬もありえなかったのです。

だからこそ・・・普段、峻烈きわまりない信長も、

このときばかりは、「いかにしたものか」

と思案にくれたのです。

この状況では力攻めは“効なし”として、

説得するということに決定します。

ということで、黒田官兵衛が有岡城に向かいます。

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