ランの話 ⑧ プリーズ、キルミー

剛先生

2012年10月27日 00:00

ある時、ランと、日本車と欧州車のどちらが

優れているかという話になって、当然私たちは、日本車に

肩入れして話していました。議論が白熱してくると

、英語ではうまく説明できず、わたしが「日本語なら

もっと言いたいことがあるのだけど」と言って、

むくれて話を打ち切ってしまったことがありました。

ランが、急に台所に行って、包丁を持ち出して

私に渡して言ったのです「由紀子さん、プリーズ、キルミー」

(どうぞ、私をころして)と。

初め、何を言っているのだろうと思い、ランの顔を見て、

思わず噴きだしてしまいました。

感情的になった私を見て、彼はユーモアで

その場の雰囲気を変えようとしたのでした。

彼は議論をたのしんでいただけだったのです。

日本人は、議論することになれていないせいで、

相手と意見が違うと感情的になりやすく、

お互いに、とことん話をして、その結果起きる

気まずさを避けようとします。

日本人にとって、議論は楽しむものではなく、

できれば言葉を濁してでも、丸く治めようとします。

私もそうでした。

そんな私に、ランは議論は冷静に楽しむものだ言うことを

ユーモアを交えて教えてくれたのでした。



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