外国に行って驚いたこと 9
ロンドンのホテルでのことです。
風呂に入ろうとした瞬間、
突然、火災報知器がなり始めたのです。
えっつ、どうなってるの?
――その音は、あまりにけたたましく、
耳をつんざくばかりです。
私はびっくりして、
すぐにドアのところに駆けつけました。
ドアの外では、おそらくアメリカ人でしょうが、
「ワッツゴーイングオン」・・・どうしたの?
・・・という叫び声が聞こえてきます。
私も急いで外に飛び出そうとしたのですが、
ふと、数日前、火災報知器を鳴らして、
客が出払った後、部屋に侵入して、
金品を奪う新たな盗みの方法が流行っている
ということを思い出しました。
「えっつ、どうしょう、どうしょう」
と一瞬迷いましたが、でも、本当に火事なら、
こんなところにいては、焼け死にます。
私は、すぐ貴重品を持って外に飛び出しました。
廊下には煙もなく、火事のようすはありませんでした。
私はすぐエレベーターに飛び乗りました。
すると、先ほど声の聞こえた、40前後の、
アメリカ人風の女性と、
2人の12,3歳ぐらいの子供が一緒でした。
彼女は、エレベーターから降りると、
フロントに一直線に大またで歩いていきました。
「どうしたの?何があったんだ」
彼女は大声でまくし立てます。
すると、また、フロントの女性が・・・
「厨房で煙が出て・・・」と言ったあまり
理由にならないことをいうのです。
しかし・・・そのアメリカ女性は
「問題ないんだね。オッケイ」と言ってさっさと納得して、
去っていきました。そのあまりにいさぎよい態度に、
あっけに取られたのですが、何だか好感持てる気分でした。
一方、私は、もう少しぐずぐずした気分で、
「そんな説明では・・・」と、
もう少し質問したい思いで、すごすご自分の部屋に帰りました。